アニメーション監督への道

序章(2008/12/22)



こちらのレポートはHN美和さんからの御質問を受けて作成しています。



<質問内容>
こんばんは、美和といいます。
「スキップ・ビート!」、「ヴァンパイア騎士」毎週楽しく観ております!
素敵なアニメの監督をされている方がどんな方だろうと思い、 調べていてこのHPに辿り着きました^^
私も、アニメ監督を目指しており、数少ない女性監督である、佐山監督を尊敬しております///
良ければ、佐山監督は何故アニメ監督になられたのか、経緯を教えてくださいませんか?
私は来年、大学へ進み、アニメーションの勉強をしようと思っております。
具体的に、何をしていけばアニメ監督を目指せるのか、アドバイス等を頂けたら幸いです。

(以上、一般掲示板より転載)



美和さんはアニメーションの仕事に進むため、大学でこれから勉強されるようですね。
我々の世代ですと、アニメーションの勉強を普通の大学で専攻できるという環境には恵まれていなかったので、どのようなカリキュラムで行われているものなのか非常に興味があるところです。よかったら今度教えて下さい(笑)
さて、質問の内容に触れるにあたって、やはり私のこれまでの経緯を一度簡単にさらっておいた方がいいかと思われましたので以下に書きます。


●私がアニメ業界に入るまでの経緯

*一部『アニメ業界就職への道』からの転載になります。

私は元々舞台芝居が好きで、趣味の範囲で舞台台本を書いたりしていた時期があったのですが、台本を書いていくうちに、ドラマや映画の脚本などにも興味が芽生え、シナリオライターになりたくて映画の専門学校に入りました。
基本的なことを学んでいるうちに、日本の映画業界の伸び悩みに気付かされます。当時、まだSFXなどの普及が日本では遅れていて、ロケーションや予算の低さなど色々な問題で邦画は低迷気味でした。ちょうど一般的に派手な映像を好む風潮になってきていて、どうしてもハリウッド映画にお客が集中しているような時代だったからです。
当時の私もやはりSFXなどには興味があり、やりたいのはやまやまですが、それをするための予算を日本で集めるのは至難の技であると言う現実をつきつけられ、少々落胆していました。
しかしアニメはどうでしょう。大掛かりにスタッフ総出でロケ隊を組まなくても、いろいろ制約受けながら警察に撮影許可とらなくても、世界中どこででもロケができるじゃありませんか。
もちろん肖像権や著作権、他にも守らなきゃ行けない人様の権利関係の制約はアニメにもありますが、それさえ守ればそこそこ自由にできますし、ワイヤー組まなくたって人は簡単に空も飛ぶし、特殊メイクしなくてもメタモルフォーゼするし、飛行機や車を壊しまくっても予算は同じ・・・なんてファンタスティック・・・!!
ちょっと現実的な話になってきてしまいましたが、私にとってアニメーションという世界は自分が表現したい事を自由に表現し易い夢のようなフィールドに思えました。
前述では「ライター志望」だった私は、途中の過程で映像に直接携わる「演出」の方に目線が向いていました。冷静に考えると、舞台台本を趣味で書いていた時も、頭では舞台の配置やら照明の具合やらを考えていて、「演出」までひっくるめて楽しんでいたのです。その時の私は「演出」という仕事がよくわからなくて、とりあえず自分にできる「文字にする」という行為によってそれを表現しようとしていたのだと自覚しました。
とはいえ・・・専門学校の課程が終わり、就職を決めるにあたって、私はアニメ業界のことをまったくという程知らなかったので、どのように就職活動をしていいのかもわかりませんでした。
もうこの時は当時の講師の方におんぶにだっこでしたね。恥ずかしながら。
先生にプレゼンしてもらった感じでしたよ。
ただここで注意点が一つ。例えば学校で演出技法を学んでいたとしてもそのキャリアを現場では認めてもらえないということ。
簡単に言えば、始めに雇用される時から『演出』で・・・ということはほぼ99%ないということです。
それはしょうがない事だと思います。なぜなら学校で学んでいること、あるいは作成しているものはある程度自分本位の・・・自分の都合のいい段取りの中で作られている物であって、すぐ商品として成立するものではないからです。
演出は例えて言うなら支店長です。各セクションにあらゆる指示を与える立場なわけですから、一朝一夕になれないのは当然です。
バイトとかをしていてもそうですよね?まず研修期間というものがあって、そこでの仕組み、ルール、マナー等を教え込まれます。
アニメ業界も同じで、作品によってルールは違うし、会社によっても様々です。その現場にあったスタイルに自分を合わせて行かなければ仕事としては成り立ちません。
そのルール等に関しては申し訳ありませんが説明する事が出来ません。守秘義務とかそういうことでなくて、あまりにパターンが多すぎて一言にまとめきることができないのです。
ただこれだけははっきり言えますが、その下積み期間は決して無駄ではありません。でもこの期間を辛抱できない人がたくさんいるのが現状です。
演出をすぐやらせてもらえないからといって半年や一年でふらふら移動していては、覚えられる物も覚えられません。ある程度の我慢覚悟は必要だと思って下さい。
一番雇われ易いセクションは『動画』『制作進行』でしょうか。現場においてもっとも人数が必要なパートだからです。今現在演出や監督をされている方の中には『撮影』『背景(美術)』などから移行した方もいらっしゃいます。が、これらの方面からのルートは私ではわかりかねますので、その道のプロの方にお聞きください。
ちなみに私はアニメの制作過程を頭から尻まできっちり覚えたかったので、『制作進行』からスタートしています。制作進行から演出助手(演出助手というセクションがこの会社にはなかったので、あくまでも制作進行と兼任ですが)、そして演出という流れですね。
制作進行なのに歩合制だったので、生活が苦しいのと、絵の方も覚えたかったので制作の仕事の傍ら動画もやりました。美大の一般公開のデッサンの講習に通ったりもしました。でもこれはあくまでも演出の仕事に役立てるためです。絶対に必要な事だとは思っていません。
生活の方はというと・・・昨今制作進行を歩合で雇っている会社は殆どないと思います。ちゃんとお給料はもらえますので安心して下さい。
会社によっては演出助手というセクションが始めからあって、それで雇い入れてくれるところもありますので、演出助手からスタートしたい人は就職活動時の条件に加えておくのもいいんじゃないでしょうか。
どこからスタートするにしても、就職してから覚える事は山ほどあります。それは絶対に必要な知識です。とにかく特殊な仕事なので、始めは自分の常識を一度完全に崩し去るところからスタートする事になるかもしれません。それを自分の中で噛み砕くだけでも相当な時間を要します。半年程度で分かった気になっていると2年後に酷いしっぺ返しを食らう事になりますよ。
この仕事は応用の連続です。得られる時に知識を貯えて、引き出しを広くしておけば後々絶対に役に立つのです。
だから、演出がすぐにできなくても準備運動しているつもりで、いろんな人から技を盗みましょう。人から与えられた仕事だけやっていてはそれはできませんし、演出への間口も広がりません。
一生懸命知識を集めて、それを人にプレゼンする機会が訪れたらどん欲に掴んでいくのが早く演出になるための最良の方法だと思います。
実力が備わっていれば気づく人は気づいて、ちゃんと手を差し伸べてくれるはずですから。


と、なんとなくだら〜〜っと書いてしまいましたが、これが私がアニメ業界に就職するまでの概要です。
次は演出になってから今に至るまでのお話をしましょうか。その前に演出の仕事って何なのか・・・ということを説明した方がいいのかな?
その時のテンションによって考えます。ではまた第1章にてお会いしましょう。


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