アニメーション監督への道
第三章・だから結局演出って何なんだよ〜絵コンテ編〜(2009/4/07)
ここまでちょこちょこ演出についていろいろほざいて参りましたが、そうは言っても分かりづらいですよね。 絵はダイレクトに画面にでてくるのでアニメーターの仕事は一目瞭然ですが、演出の仕事ってどこからどこまでがそうなのか見えないからわからない・・・もっともです。 だって私、過去に自分の親にすら説明するの断念しましたから。 でもせっかくの機会ですので、ほんの少しだけチャレンジしてみようかと思います。今回は『絵コンテ』の作業について。 私の一番最近の仕事『スキップ・ビート!』の資料をご用意致しました。 |
●さぁシナリオが上がったぞ・・・まずはよく読もう! ※シナリオってこんな感じ 絵コンテ以前にシナリオがどういうものかわからないと、ここからどんな作業をしていくのか理解できないので少しばかりサンプルを。 スキップ・ビートでもお世話になったライターの藤咲さんにご協力頂いて画像をアップさせて頂きました。 今回私はご本人にご了承頂いて載せていますが、本来こういった素材は一般の方の目に触れるものではないので、無断で載せる事は絶対しちゃだめです。 ネットという不特定多数の人の目にとまる媒体に載せる最低限のルール・・・いや、マナーですね。 なので、絵コンテ素材に関しては自分のきったもの・・・それも一部しか載せられません、あしからずご了承を。 自分の描いた物でも100%の権利を主張できないのがアニメ業界の現実です。なぜなら意外などこかで不利益を被る人がでてしまう可能性があるからです。 ではシナリオのお話を。 画像をクリックすると若干大きく見る事ができます。 |
ご覧頂けるとお分かりになるかと思いますが、シナリオ上では、セリフ以外の項目は意外とファジーです。これは、この後の作業でしばりを設けないためのライターさんの配慮です。 設定の状況や、キャラクターの特性などによってシナリオ通りの環境でキャラクターが演じられない(実写的に言ってしまっていますが、アニメ的に置き換えれば『キャラクターを動かせない』)場合があります。というかそちらの方が多いです。 そのため、初めは大まかにのみ表記して後は現場に委ねて頂きます。 シナリオは、30分の枠のシリーズ(本編正味21分くらいのもの)で大体ペラ(200字詰め原稿用紙)で70枚くらいが普通です。 このくらいだと、シナリオ通りに切って行ってもおよそ尺の調整をしなくてもいけるのではないかと。あくまでも目安にすぎませんが。 ちなみにスキップ・ビートはシナリオ平均枚数が86枚なので、一般的な例にはあまり当てはまりません。念のため。 明らかに尺が多い場合はうまいことバランスをとりつつ、不明瞭にならないよう尺をつめます。 逆にシナリオが尺に満たない場合もあります。こういった場合、その尺を埋めるのはコンテマンの仕事です。監督と相談しつつ増やす箇所を決めてコンテで足します。 コンテは作業台本・・・いわゆる設計図です。これは後々の作業にまで影響を及ぼすものなので、非常に注意が必要です。 自分がやりたいことだけを羅列するのは絶対NGです。 どんなものを作るにしても、材料には限度があって、それを超えては作れませんよね。アニメだって同じ事です。 だから初めの設計図の段階から最終的な出来上がりを想定して、かかる材料、期間の配分も考えつつとりかからなくてはいけません。 アニメはとても大きな創作物と捉えて下さい。コンテは100分の1スケールの設計図です。些細なずれが100倍になって出来上がってしまうこともあるんです。 怖いですね。そうなったら個人ではとても責任を負いきれません。
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