制作についての説明ブログ

代わりなんていない(2008/11/09)



最近、これからアニメーションの仕事をしたいという学生さんや、今年から仕事を始めた新人さんなどに向けての『業界での在り方』についてしばしばコメントを求められます。
私が演出家なので、演出方面を希望する人たちに向けてのコメントが殆どですが、一番多い質問は『演出は絵を描けないとだめですか?』というもの。
頻繁にブログにも書いてますし、東放学園さんの取材でもお答えしたのですが、私は正直『描けなくてもいい』と思っています。
絵コンテにしても、作画さん並の画力は必要ない・・・というか、最終的に絵におこすのは作画さんの仕事なので、その方向性がわかるだけのおおまかな指示表になっていればいいと思います。
そもそも、絵コンテ作業なんて、トータル2週間、そのうち絵を描く作業にあてているのが1週間だとして、その1週間の間に300カットのレイアウトをとらなければいけないわけです。それが作画さんレベルの画力と精度をもってあげられるのなら、一人で全部できてしまいます
もっと具体的に数字をあげると、一日42カットのレイアウトをコンスタントにあげることになります。はっきり言って無理なんです

作画さんに後の作業を委ねるためには相応のスケジュールが必要です。ここでの時間がもっとも作品のレベルに影響を及ぼします。
なので、丁寧に絵をいれようとするがためにコンテ段階で時間を消費しすぎるなどというのは本末転倒で、無駄なことだと思います。繰り返し言いますが、作画さんに伝わればいいのです。集団作業なのですから、後先の事まで考えないと。
あ、でも絵が描ける描けない以前にやろうとしていることが伝わらないものなど言語道断です。そこのところ誤解なきよう。
少なくとも私はコンテの画力でその人のコンテ力を計ることは絶対にしません。
絵がうまいのとコンテがうまいのとはまったくの別物ですから。
ただ演出する上で、絵が描けないからといってすべて作画監督に任せてしまうというのはありえない
自分が求めてる画面構成を表現するのに、絵で描かなくてはいけないという決まりはないはずです。文字でも、参考の写真でも方法はいくらでもあるので、自分なりの表現方法で作画さんとコンタクトをとれればいいんじゃないでしょうか。その辺の努力は惜しまずやってくださいね。

さて演出になるにあたって長々と書いてしまいましたが、書きたかった事は本当は別のことです。上記の内容がまったく無関係な事ではありません。『制作進行』という仕事についてです。
上記の質問をする人のように、『絵が描けない』ということにコンプレックスを持っている人はとても多く、『アニメーションが好きなのでアニメーションの仕事をしたいけれど、自分は絵が描けないので制作進行をやる』と、この業界に妥協から入ってくる人がいるという残念な現実が今あります。
正直申し上げて、そんな姿勢では長続きしません。業界に入る前の人なら別の仕事をおすすめしますし、今そんな気持ちで制作をやっている人は即刻やめてください
ときどき監督さんや原画さんの中には『制作のかわりなんかいくらでもいるんだ』とか心ないことをいう人もいると思います。
でもそれを言うなら原画や演出だって同じことでしょうし、もし『それは違う。うまい原画マンと下手な奴を同列にすんな』という意見があるのならば制作だって同じです。
人を回転させること、スケジュールを管理する事の下手な制作のもとではいい作品はできないです。誰でもいいわけじゃない
制作さんにはその辺の誇りを持って仕事をして頂きたい。自分が作品を支えているという自覚をです。
アニメは集団作業なので、どこのパートが腐っても仕上がりに影響がでてしまう。制作も例外ではないという事です。
決して『ガキの使い』でも『ぱしり』でもないんですよ。重要な仕事なんです。制作は。全ての行程に関わる潤滑油なんです。
だから中途半端な気持ちでやって欲しくないです。
私も制作だったから本気でそう思います。
人に指図されて動くのではなく、人を動かして『いい作品を作るんだ』という思いをもって是非仕事に励んで下さい。

誰にも代わりなんていないんです


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